私にとって山頭火は一ツの風景である。心を浄める得難い風景である。世の中が
混沌としてくれば、なおさら私の心は山頭火にひかれる。空飛ぶ鳥は、やがて梢に
還るというのに近代都市はその梢を奪ってしまった。駅の屋根裏に小さくうずくまっ
ている姿をみると心がいたむ。自然がいつの間にか壊されて、そこに住む人々の
魂までが歪曲されてしまった今、私は彼の生きざまを慕う。彼の句に接すると失
われた自然が心の中によみがえり歪曲された魂までが矯め直される思いがする。
私にとって彼の句は大自然にも似た恵みである。
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