鄭道昭 論経書詩

 

雲ー字が深呼吸しているような筆の伸び

 

この「雲」は雲峰山の中腹の崖に刻まれた「論経書詩」の中にある。

北魏の永平四年(511)に書かれたもので、書者は鄭道昭(没年は

516年)である。

魏の国は中国大陸の北にある。したがって、その芸術は北国特有

のどっしりとした気分のものが多く、こせこせしたところがない。特に

鄭道昭は自然を愛し、山に登ることを楽しんだ人といわれる。そして

気が晴れれば筆をとり巌壁に大きな字を書いたと伝えられている。

書かれたものにはその時の爽快な気分が表現されている。

ここにあげた雲も、字そのものが深呼吸しているようで、筆は伸び伸

びと広がっているように感じられる。一字の大きさは約15センチメー

トルだが、この一字に中国大陸を見るようで、雄大な迫力と夢いっぱ

いの豊かな気分が味わえる。

武者小路実篤先生はこの書をならって、自分の生活にまた一つの楽

しみ を加えた、といっている。

 


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