豪放さのなかに落ち着きと高い気品

 

奈良の正倉院は、法隆寺とともにわが国の宝庫といわれている。

この「飛」は、その正倉院に保存されている「杜家立成雑書要略」

(とかりつせいざっしょようりゃく)の巻末の一紙からとったもので、

光明皇后(701−760)の御筆と伝えられるものである。

この巻末の一紙は、まさにクライマックスに達した感があり、筆は

暢達、円熟味が加わり、意気すこぶる昂揚されたもので、一筆一

筆は躍動して、熱気をほとばしらせている。火の燃えるような情熱

は、見るものを圧倒する。

大きさ2センチメートル四方の「飛」は、豪放な御筆致でありながら

卑雑軽躁に陥らず、あくまで澄んで落ち着き、高い気品を保ち、

鳳凰が空高く飛ぶ姿を思わせるものがある。

 

 


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